関東に接近する台風19号について

大型で非常に強い台風19号は、11日12時現在において伊豆諸島南に位置している。

台風情報・日本広域(2019年10月11日12時現在)

現時点で出されているこの台風進路予報図を見ると分かるが、予報円の中心線(必ずしもそこを通るわけではない)が東京湾付近を通過している。

しかも上陸地点が三浦半島または房総半島となった場合、ほぼ威力を維持する形で襲来することになる。

このことから言えるのは、千葉県は先月の台風15号に匹敵する以上の暴風に見舞われる可能性が極めて高い。

中心線通りに通過すると仮定すると、同県における15号被災地域は壊滅的な追い打ちは免れ得ない。

地区単位での孤立も想定できるため、今から避難するなら地区外避難も覚悟する必要がある。

そして注意すべきは中心線の西側に入るからといって安全圏というわけではない。それどころか降雨量という観点で言うと西側の方がよりリスクがある。

そもそも大型であるため、コンパクトと表現された先月の15号ではなく、去年関西地方に大きな被害を与えた台風21号に匹敵する規模を想定した方がよい。

既に気象庁も発表しているが最大で600mm降るとしている。念を押すと、この600mmをゲリラ豪雨と比較してはならない。

なぜならゲリラ豪雨はピンポイントに降るのに対し、台風の大雨は極めて広範囲に満遍なく大量に降ることを意味する。したがって広域の河川が増水する恐れがある。

大型河川の洪水リスクはゲリラ豪雨よりも台風のほうが高い。

12日の計画運休情報によると大半が正午以降の運休を予定しているが、雨はそれ以前から大量に降る予定になっているので、安易に動いているからと電車を利用すべきではないだろう。

 

 

大阪北部地震(M6.1)に見る人々の災害への対処行動意識の欠如

ブログのとっぱじめとして持ってくるネタとしてはアレだが、最近強く思ったので一つ

まず下の写真をご覧いただきたい

これは今年6月18日7時58分ごろに大阪北部を震源に発生したM6.1地震直後の様子である。

淀川に架かる橋の上を多くの自動車と歩行者が通行しているのがお分かりいただけるだろう。

彼らは鉄道交通網が止まったことで発生した出社困難者たちである。真面目な日本人のサラリーマンたちはM6.1で震度6弱という強震が襲った結果、関西圏の鉄道が停止している状況下でもめげずに出社しようと橋を通行しているのだ。

でこの状況を見て思うのはなんとしても出社を果たそうとする彼らの勤労精神への賛辞だろうか。いや、その逆だと私は断言する。

これは同調圧力に支配される日本人ならではともいえる異常な状況であり、下手をすれば惨事を招きかねない行動であるということだ。

この状況を見て異常に思わない人はほんの2年前に発生したばかりの熊本地震を忘却してしまったのか今一度問うべきだ。

あの地震の何といっても大きな特徴は本震とみられたものが前震であり、余震ととみられたものが本震という類を見ないケースで発生したものだということである。

ちなみにこれを類を見ないケースと言ったが、そもそも多くの直下型地震は断層破壊で発生するので、断層破壊が何らかの理由で連鎖することはありえるし、最初の揺れをトリガーにして次の地震で大規模な破壊を引き起こすことは十分想定できる。

今までが稀だっただけの話だ。

それを踏まえると先ほどの写真がいかに誤った行動に基づいたものだということが分かる。

なぜなら彼らが淀川の橋を渡っているのはM6.1地震が発生してから数時間も経過しておらず、余震が頻発している時間帯だからである。

もし、熊本地震のように、再び大きな地震が発生したら。しかも前震のM6.1を上回る本震級のM7、8クラスの地震が発生したらどうなるだろうか。

万が一落橋したら一巻の終わりである。

上は利根川に架かる橋が落橋した様子。東日本大震災では実際に揺れによりこのようになり、乗用車が巻き込まれて河川に落下し、運転手が死亡する痛ましいことがあった。

最近では帰宅困難者は無理に帰宅せずに会社などに留まるようにというお達しが政府からも出ている。これに備えて駅などでは備蓄を用意するなどの対策が行われている。

これは帰宅時間帯に地震が発生した場合だが、出社時間帯に地震が発生したならば、同様に無理に出社せず、自宅に留まるべきなのである。

特に大阪北部地震は直下の断層型地震とという情報が気象庁から出されており、熊本地震の例もあることからM6.1以上の地震が発生することも注意勧告している。

余震という表現を無くしたのも、最初の地震を本震と呼んであとの地震は余震で揺れは本震より小さいなどという誤解を招かないようにするためなのだが、どうも淀橋を無理してまで渡ろうとするサラリーマンたちには伝わっていない模様だ。

 基本的に都市圏の鉄道は震度6弱以上の強震を観測すると運行を停止することが定まっている。

さらに首都圏では下の記事のように道路規制も行われることになっている

 

 つまり通勤時間帯にに地震が発生し、震度6弱以上を観測した時点で出社は困難な状況になるわけだ(都心から郊外方向への通行は可能なので帰宅は可能だが)

地震後の都市圏の鉄道網の復旧には極めて時間がかかる。東日本大震災で首都圏民は経験済みであるはずだし、大阪北部地震で関西圏の人々も経験したはずだ。

道路網も規制等で同様に混乱し、先ほどの淀川の橋の状況のように大渋滞で一向に進まないことは予想できる(大阪の都市高速も通行止めになっていた)

頑張って徒歩で出社を目指したところで普段1時間半程度かけているならば、途方もない時間がかかるだろう。仮に会社に辿り着けても半日余りが経過し、仕事にならない。

さらにそこから帰宅しなければならないが、終日運休しているなんてケースはざらにあり、そうでなくても大幅に運行が乱れている中では帰宅は困難となる。

このようにして出社困難者は同時に帰宅困難者となる運命が確定している。さらに残念なのは、無理して出社する人が多いのと同様に無理して帰宅しようとする人も多い。

出社しようとする人と帰宅しようとする人がごちゃ混ぜにターミナル駅に殺到する。まさに想像を絶する光景だ。

そんな状況で再度地震が来たらさらなる二次被害も容易に考えられる。

地震に対処する基本は「その場の安全な場所に避難してとどまること」である。

通勤中ならば下車した場所の自治体にある避難所に頼るべきであるし、会社なら会社、自宅なら自宅およびその周辺の避難所。これが当然である。

さて、西日本豪雨でも配達人が流されなくなるというニュースを聞いたりして憂鬱になる今日この頃。ただでさえ台風や豪雨でも仕事をしようとして死亡する例が後を絶たない悲しみを背負った国民性を持つことを日本人の美徳であるという風に美化すべきではない。

自分の身は自分で守る。これを改めて自覚すべきだろう。